乳がんについて
乳癌は乳腺組織にできる癌で、多くは乳管から発生しますが、一部は乳腺小葉から発生します。
世界中で女性がかかるがんの第一位で、日本では11人に1人が乳癌にかかると言われています。40歳代後半~50歳代前半で罹患率が高くなりますが、60歳~80歳代の乳癌も増えてきています。
頻度は高くないですが、男性も乳癌にかかることがあります。
乳がんの原因
乳癌の発生には女性ホルモンが関係することがわかっています。
女性ホルモンを含む、経口避妊薬や低用量ピルの使用は乳癌発症のリスクを高める可能性があり、閉経後の長期間にわたる女性ホルモン補充療法は乳癌発症のリスクを高めることがわかっています。
また、飲酒や喫煙、閉経後の肥満も乳癌発症のリスクを高めると考えられています。
乳んが疑われる症状について
乳癌の初期症状で最も多いのは乳房のしこりです。他には乳房にえくぼのようなひきつれができたり、左右の乳房の大きさが違ってきたり、乳房の皮膚に発赤やただれが出たり、乳首から分泌物が出たりすることがあります。
乳がんを早期発見するために
乳癌は自分で見つけることのできるがんの1つではありますが、セルフチェックだけでは見つけられないこともあるため、定期的に検診を受けることが大切です。
乳がん検診・検査のすすめ
上でも述べたように、乳癌をセルフチェックだけで見つけることは難しいです。症状がなくても定期的に検診をうけたり、気になる症状があれば早めに乳腺外科を受診して検査をうけることが大切です。
早期発見・早期治療で乳がんは治療可能です
乳癌は乳房のまわりのリンパ節や遠くの臓器(肝臓や肺、脳、骨など)に転移をすることがあります。わきの下のリンパ節までは手術で取りきることができるので、遠くの臓器への転移がなければ、十分に根治がのぞめます。
乳がんと間違いやすい病気
乳腺症
乳腺症のほとんどは乳癌とは因果関係のない全く別の良性疾患群ですが、程度が強くなると、画像上、乳癌との区別が難しくなることがあります。その場合は組織の検査などで癌か癌でないかを確認します。
線維腺腫
好発年齢は乳癌や葉状腫瘍より少し若くなりますが、組織の検査をしても葉状腫瘍との区別が難しいことがあるので、急に大きくなるような場合には切除を相談します。
乳腺炎
乳房の皮膚が赤くなったり浮腫を認め、はっきりとしたしこりは触れない炎症性乳癌と、産後におこる急性化膿性乳腺炎やうっ滞性乳腺炎とは見た目は似ていますが、問診で区別ができます。
葉状腫瘍
葉状腫瘍は全乳房腫瘤の1%未満とまれな腫瘍ですが、好発年齢層は乳癌のそれと似かよっています。葉状腫瘍の約25%は悪性ですが、良性か悪性かの区別や線維腺腫との区別は、針生検をしても難しいことがあるので、急に大きくなるような場合には手術でとることを相談します。
乳腺嚢胞
嚢胞は基本的には良性なので心配いりませんが、大きくなってくると中に嚢胞内癌(非浸潤癌)ができてくることがあるので、注意が必要です。
乳管内乳頭腫
乳管内乳頭腫は乳管の中にできる良性の病変ですが、症状は主に乳頭分泌で、血の混じった乳頭分泌をきたす原因の中では乳管内乳頭腫が一番多い原因です。